第6章

上田>おお! YOUいつ入ってきたんだ?
   俺は確かに外に出たのを見たぞ!
山田>やっぱりダメですね。
   上田さんは私がいないとなんにも分からないんだから。
上田>なんだその言い方は! 分からないはずが無いだろ!
山田>じゃあ、今どうやって私が入ってきたかを説明してくださいよ。
上田>い、今のはだな、YOUが人の思考を混乱させるお香をコッソリ焚いておいて、出たと見せかけただけなんだ。
山田>全く違いますよ。
   今のは私が外に出てもう一枚の障子の裏に隠れてたんですよ。
   そして上田さんが外を見た時に上田さんが開けた障子とは別の障子を開けて中に入ったんです。
上田>あっ、そうか、そういうことか。
   それも考えたんだがな〜。。
   ん? ま・て・よ…………。
山田>とにかく上田さんは私がいないと何にも出来ないんだから私を引き止めなさい。
   でも忙しい私は帰らないと行けないのでどうしても残ってくださいとお願いしなさい。
   で、私を引き止めるには…………………………(話し続ける)

上田は山田の話を最初から聞いておらず「ま・て・よ」からずっと何かを考えている。
しかし山田も反対を向いているため上田が聞いてないことに気付いていない。

山田>…………だからこの事件が終わったら私に焼肉食べ放題券30枚つづりをよこしなさい。
   どうだ上田、分かったか?(>の後の…………はさっきからずっと喋っている事を表す)
上田>そうか! 分かった!
山田>そうか分かったか、それがベストな選択だ。
   帰ったら頼むぞ。
上田>何を頼むんだ?
山田>いや、だから焼肉食べ放題券30枚つづりを私にくれるって話ですよ。  
上田>何だ、その話は。
   俺は知らんぞ。
山田>そんな! 今分かったって言ったじゃないですか!
上田>別に焼肉券について分かったといったわけじゃない。
   あの壁抜けのトリックが分かったんだよ。
山田>何ですって? どんなトリックなんですか?
上田>その事はおいおい話す。
   とにかくすぐに壁抜けをしたあの場所に行くぞ。
山田>じゃあ矢部さん達も起こしてきましょう。
上田>いや、その必要は無い。
   夜中に調べても大した物は出てこないだろう。
   細かく調べるのは明日の朝にして今日は俺のトリックが実際に出来るかどうかを試すだけにしよう。
山田>分かりました。

〜移動中〜

二人は宿舎を出て壁抜けが行なわれた現場に行く。

上田>ここだ、ここだ。
   よし、早速俺のトリックを紹介しよう。

そこまで上田が言った時草むらから声が。

男>あっ! あなたは!
山田>今何か声がしましたよね。
上田>ああ、確かに。

草むらがガサガサと動き一人の男が出てくる。

男>あなたが上田先生ですね。
上田>ああ、私が上田だ。
男>いやあ、先生と話せて光栄です。
  僕は大学2年生の「日野田 幸吉」と言います。
  実は上田先生の大ファンなんですよ。
上田>そうなんですか。
   ファンになったのは私の本を読んでですか?
日野田>そうです。
    先生のご本は「どんと来い超常現象」と同タイトルの2・3を読まして頂きました。
上田>そうですか。
   では細かい話は私の部屋に行ってしましょう。

上田、向きを変え宿舎の方に向かって行こうとする。

山田>おい! 上田。
   トリックの検証はどうするんだ?
上田>そんなもんどうでも良い!
   それよりファンを放っておく方が失礼だ。
山田>私はどうすれば良いんですか?
上田>君も是非話しに加わってくれ。
   カバンに持ってきたせんべいでも食べながら話そう。
山田>はい!
  (よっしゃ、せんべい儲け)

3人は宿舎に帰って行く。 


注意:今からの説明は山田さん達が泊まってる部屋の外から見た光景である。
   障子について説明します。
   溝が2本あり、そこに1枚は右側に(手前)もう1枚は左側に(奥)障子が入っています。
   つまり山田さんは右側の障子の後ろにいて上田さんが左側を開けると同時に障子を開け中に入ったという事です。





    〜エンディング〜

心を開けて暮らした 昔の事になったけど
今の人は 蓋を閉め鍵をかけて 他の人には見せない

仮面をかぶって 中身を氷で作り
それぞれが好きなよう 気に入る様に動いてる

邪魔者は排除し 数人で生きている
つまらない事で興奮し 傷付けて平気で立ってる 普通でない人間
一体彼らはどんな物 胸に持っているのか