第3章

山部>いいえ、山田様。
   そういうことではありません。
   実は素質が無い方は帰ってもらうと言ったのは嘘なのです。
   本当は皆様のような全く力が無い方こそここに来るべき方なのです。
   なにしろ力が最初からあっては教えても役に立ちませんものね。
山田>はあ…。
   でも、なんで全部手品だって分かるんですか?
山部>それはですね、私が貴方たちのした手品の種を見破ったからですよ。
   では、例えとして山田様とお連れの2人の種を紹介しましょう。
   まず山田様のは最初から1番下のカードを覚えていただけです。
   そうしておけば私にカットさせた時に覚えたカードの隣に私のカードが来ますものね。
   万が一私が山田様が覚えたカードと私が覚えたカードを最後に離れさせたとしても2枚のカ ードは端と端に来ます。
   ですから、どうなろうと山田様は私のカードを当てる事が出来たんですよ。
   次に上田様のは最初に来て押しのけられた人が1人目と10人目を演じていただけ。
   矢部様のは相手の口癖を覚えていただけです。
   誰にでも口癖はありますものね。
   私だと名前を呼ばれると返事をしてしまう、とか。
   どうです、当たっているでしょう?
上田>全て当たっていますよ。
   いやあ、あなたも私と一緒でインチキを見ぬく才能に長けている様ですね。
山田>何言ってんですか、いつも事件を解決してきたのは私でしょう。
   嘘つかないで下さいよ。
上田>俺が嘘なんかつくはずないだろう。
山田>実際もう既についてるじゃありませんか!
二人で>!“#$%&‘()=〜|{‘}*_?(口論中)

山部、二人を全く無視して話を始める。

山部>では早速皆さんを皇女人様の所にご案内致します。
   では、今から配るペンダントを胸にお掛け下さい。
   このペンダントは皇女人様のお力を受けるために非常に重要な役割を担っています。
   決して、体から離さない様にして下さい。
山部>それでは皆様、外に出て玄関前に止めてあるバスに乗って下ださい。
   全員が乗ったらすぐに皇女人様のおられる山に出発します。
二人>!“#$<>?__+*}P‘{〜|=(口論中)
   ………………………(口論中)
上田>おいYOU! ちょっと待て。
山田>何ですか!!
上田>誰も………………いない。

二人が外を見ると出発しそうなバスの姿が。

二人>待ってくれー!


〜10分後〜

山部>ええ、皆様ちょっと注目してください。
   大分落ち着いたのでここで簡単に皇女人様についてのご説明をさせて頂きます。
   まず、皇女人様の本名や年齢ですがこれは私は存知ません。
   どこで、力をお受けになったかというと昔普通の人間だった皇女人様が少し疲れて山にあった木の下で休んだ時の事です。
   そう、あの日あの時あのダルマです。
山田>え?
山部>失礼しました。
   桂の木の下で休んでいた時の事です。
石原>兄ぃ、違うよ。
矢部>分かっとるわ、ボケェェ!
山部>何かご用でしょうか?
   何でもなければお静かにお願いします。
石原&矢部>すいません。
山部>では、話に戻ります。
山部>皇女人様が休んでいると目の前にカミが降りて来たのです。
矢部>怪奇現象やな〜。
石原>何でですか?
矢部>そらお前、エンゼルヘアーやないけ。
山田>字が違うだろ。(小声)   
山部>ですから、矢部様と石原様、お静かにお願いします。
石原&矢部>すいません。
山部>そこで、皇女人様は少しの間意識を失われました。
   そして、目覚めた時には不思議な力が備わっていたとの事です。 
   その後皇女人様は下山してこの会を作られたのですが自分の力はもっと伸びるような気がすると言って会の運営を私に任せて山に入られたのです。
   山の中には合宿場が作られており皇女人様はそこに住んでおられるのです。
   山に入った効果はあったそうでカミの力を皇女人様はどんどん身に付けているそうです。
矢部>どんどん、身につけてるっちゅう事はそれは伸びつづけとるちゅうことやろ。(小声)
   そやったらその皇女人様は三つ編みできるほど長いんやな。(小声)
   こら何としてもその力分けてもらわな(小声)
石原>何の話ですかいのぉ?(小声)
矢部>カミの話じゃ(小声)
山部>そして皇女人様はカミの力により最初に出来た奇跡、イタコの能力の他に壁抜けや空中浮遊も出来るようになったそうです。
   私からの皇女人様の説明はこれくらいです。
   後は皆様に実際に皇女人様の力を見て頂くしかありません。
   では、皇女人様のおられる山まではまだかなりありますので皆様ゆっくりしていて下さい。

〜2、3時間後〜

山部>皆様、お待たせ致しました。
   皇女人様のおられる山に到着しました。
   バスが止まりますので皆様順番にお降りください。 
山部>お忘れ物が無いようにご注意下さい。
   それと、昨日から1時間ほど前までまで雨が降っていたので地面が非常にぬかるんでいます。
   お気をつけ下さい。

〜降車中〜

山部>全員お降りになられましたね。
   では、皇女人様のおられる合宿場まで少しの間歩いて頂きます。 

〜登山中〜

山部>皆様お疲れ様でした。
   今からそれぞれの部屋に分かれていただきます。
   20分後に大広間に集まって下さい。
山部>皇女人様のお力を見て頂きます。
   大広間の場所は入り口に地図があるのでご確認下さい。
   カギは玄関に下げてあるのに名前が書かれているのでそれをお取り下さい。
   では、また後ほど。

〜20分後大広間〜

山部>全員集まったでしょうか?
   お連れの方がいない等がありましたら言って下さい。
   放送でお呼びします。
   ……………………………。
   全員いるようですね。
   では、今から皇女人様の力を映したビデオを見ていただきます。

〜ビデオスタート〜

ビデオに映ったのは天井も壁も真っ黒の部屋の中に真っ白の服を着て頭の天辺から足の先までその服で覆われている人物の姿だった。

山部>この立っておられる女性が皇女人さまです。
矢部>なんや、一昔前に話題になった白装束集団の一人みたいやなあ。(小声)
   服が全部真っ白で足まで隠れとるで。(小声)
石原>でも兄ぃ、あの長い服で顔が隠れてる所は逮捕された犯人みたいやのお。(小声)
矢部>お前アホか?(小声)
   犯人逮捕の時は服やのうて背広かけるやろが。(小声)
石原>あにぃ、背広も服ですのお。(矢部に聞こえないぐらい小声)
山部>まもなく皇女人様が宙に浮かびます。
   
そう言う山部が言い終わった数秒後に皇女人様が両手を上げる。
するとそれと同時に皇女人様の体がまっすぐ上に!