第2章
〜翌日〜
上田>おい起きろ! YOU! 早くしろ!
山田>はい? えっ? 何? 火事?
上田>何寝ぼけてるんだ。
上田だ。
山田>えっ、うえだださん? 誰?
上田>違うだろ!
日本科学技術大学、通称日本カギ大教授、どんと来い超常現象著者、超天才で万能の物理学者上田次郎だ!
山田>上田次郎? 上田さん? 上田? 10万円? そうだ2週間分の食費だ!
待って下さい。 今開けます。
上田>君はいつまで寝てるんだ?
山田>寝てなんかいませんよ。 今だって手品の練習してたんですから。
上田>じゃあ何なんだあの寝ぼけたような返事は?
山田>あれは練習で頭が………えっと………そうだ思い出した!
こうわ状態になってたからですよ。
上田>飽和状態だ!
それじゃあ頭の寝癖はなんだ?
山田>寝癖ついてますか?
えっどこに?
矢部>セーンセーイ!
おらんのならおらんで良いですよー!
はよ、下りて来て下さいーい!
上田>はーい、今すぐに。
ほら、矢部さん達が待ってるんだ早くしろ。
山田>準備は出来てますよ。
ほら、なにグズグズしてる。
早く行くぞ!
上田>誰のために来たと思ってるんだ。
〜次郎号中〜
山田>そういえば上田さん、昨日私の部屋で何か食べてましたよね?
何食べてたんですか?
上田>ああ、あれか。
福岡限定販売激ウマ博多ラーメン厚切りチャーシュー2枚入り250円だ。
しかし福岡限定と言いつつこの前近くのスーパーで見かけた。
俺が言うのもなんだがあんな物ばっかり食べてると体に良くないぞ。
山田>やっぱりお前か!
あれ私の夕飯だったんだぞ!
上田>そうじゃないかと思ったよ。
大事そうに机の真ん中に置いてたんだからな。
山田>なんで勝手に食べるんですか?
上田>そこにラーメンがあるからだ。
山田>はあ?
山田>とにかくラーメンのお金返してください。
上田>まあ良いじゃないか、2週間分全て浮くんだから。
山田>それとこれとは別です。
上田>全くケチな女だ。
だから、いつまで経っても彼氏が出来ないんだ。
山田>お前が言うな。
〜20分後〜
山田>そうだ! 昨日聞こうと思って忘れてた事があったんです。
どうして警察がインチキタコに動き出したんですか?
矢部>上田先生は答えんで良ろし。
この物分りの悪い女に説明すると疲れるからこの矢部謙三が答えます。
おい、よう聞いとれよ!
上田>イタコなのだが…。
矢部>あそこに行ったら誰でも霊能力覚えてくるいう事はお前も知っとるやろ?
でも、1人だけ警察に「騙された−!」
「霊能力なんかじゃなく簡単な手品を教えてもらっただけやー!」
と言うて来る人がおってなあ。
一応調べる事になって、この優しい矢部が調査を引き受けてやったんや。
石原>本当の所は兄ぃが佐々木課長に怒鳴られて出て来ただけやけどのぉ。 あっ!
バシィ!!
石原>ありがとーございます。
矢部>黙っとれ!
とにかくそれから歩いて歩いて聞きこみ調査をしたんや。
やっぱ刑事の基本は聞きこみやからのお。
一軒一軒そこの集会に行った人の家を回ったんや。
ってお前聞いとらんやん!
こらー! 寝んなー!!
山田>あっ、はい、それで?
矢部>その中には騙された言う奴は1人もおらんやった。
それで、俺らもそろそろ調査止めよう思ったときにな、文句言って来た奴が死んだんや。
山田>どうなって?
矢部>あれは自殺としか思えんな。
家の中で首釣って死んだんや。
でも、それだけやったら自殺となって警察は動けんから上田先生の所に頼み行ったっちゅう訳や。
分かったか?
山田>はい、分かりました。
山田>やっぱり、この集団がウソクセーもんだと言う事が。
上田>はい皆さーん。
そろそろその集会場所に着きますよ。
矢部>よっしゃ、上田先生頼んまっせ。
山田>私には?
矢部>お前に誰が言うか!
石原>ワシには?
バシィ!!
石原>ありがとーございます
〜集会場所の中〜
案内係>こちらにどうぞ。
ここに座ってお待ちください。
山田>結構綺麗ですね。
上田>そうだな。
〜20分後〜
山部>お待たせしました。
私は桂・
矢部>なにぃ!!
山部>桂 皇女人様の右腕である山部 一郎です。
矢部>カツラって名前の事かい。
ビックリさすな。
山部>早速ですが皆さんの生まれつきの能力を見せていただきます。
素質がない方にはここで帰ってもらいます。
それでは今日来た順番にお願いします。
山田>ちょっと、上田さん。(小声)
こんな話聞いてませんよ。(小声)
上田>俺だって聞いてないよ。(小声)
どうなってるんですか? 矢部さん。(小声)
矢部>俺かて聞いとらんぞ。(小声)
どうなっとるんや、石原。(小声)
石原>ワシも聞いてませんけえのぉ。(小声)
大体この仕事は兄ぃがペコペコした事から始まったけえのぉ。(小声)
ワシが知るはず無いのぉ。(小声)
山田>まったく。(小声)
しょうがありません、思いきってやりましょう。(小声)
上田、お前も用意しとくんだぞ。(小声)
〜数10分後〜
山部>では次は山田奈緒子様。
山田>はい。
私は貴方の意識の痕跡を感知する事が出来ます。
上田>あの時と一緒か?
山田>まずこの1組のカードの中から好きなカードを取ってください。
山部、カードを取って奈緒子に見えないように覚える。
山田>では、上に戻して下さい。
山田>戻しましたね?
では好きなだけカットして下さい。
それで良いですか?
では今からそのカードをこのデッキの中から取ってみせます。
山田>いきますよ、貴方の選んだカードは………これです!
当たってますか?
山部>はい、当たってます。
では次の方は上田次郎様です。
お願いします。
山田>コメント無しかよ。(小声)
上田>私は話の中で超常現象を起こす事が出来ます。
まずここに9個の電話ボックスがあります。
そこに1人の男が来て入ろうとしましたが2人目の男に先を越されてしまいました。
そしてその後3人目の男、4人目、5人目、6人目、7人目、8人目、9人目と入りました。
しかし、9人入りましたがもう1つボックスが空いています。
そこに最初の人が入り9個のボックスに10人が入りました。
どうです?
山部>はいありがとうございました。
では次の矢部謙三様。
お願いします。
上田>リアクションが少ないな(小声)
矢部>私は人が何を言うのかを当てる事が出来ます。
今からこの部下の石原の言う事を当てて見せます。
口合わせは全然してません。
じゃあ、まずこの紙に、あっ!
…………………。
山部>どうなされましたか?
石原>兄ぃどうするんじゃ(小声)
矢部>ええっと、何でもありません。
ちょっと言葉に違和感が残りまして。
失礼しました、では改めて始めたいと思います。
この紙………に石原が言う事を書きます。
矢部、皆に見えない様に紙に書きこみ裏返し机の上に置く。
矢部>では、これは伏せてここに置いときます。
じゃあ、今からの会話の中にここの言葉が必ず出てくるはずです。
よし、じゃあ石原俺の秘密を1つ言え。
石原>えぇぇぇぇぇぇ!!
兄ぃ、言って良いんですかいのぉ。
矢部>俺が良い言うとるんじゃはよ言え。
石原>わかりました。
じゃあ、思いきって言いますけえのぉ。
ここにいる兄ぃの秘密は1つ!
そ、それは………実は…………兄ぃは…………。
兄ぃはカツ・
バシィ!!
石原>ありがとーございます。
矢部>はいここまでー。
皆さん聞きましたね?
ありがとうございますです。
では紙を見てみましょう。
せーの!
矢部、さっき書いた紙を皆に見せて。
矢部>ほらー、書いてあるのはありがとーございますです。
山部>はい、どうも。
では席にお戻りください。
今のテストのおかげで皆さんには本物の力が無いという事が分かりました。
全部手品ですね。
山田>何? ばれたの? 食事……無し?
注意:カットとはデッキを上と下の2つに分けて下の方のを上に置く事である。
トランプ手品の技法の一つ。