MR第六章
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ルイ:ほぉ・・・まさかこれだけで君に見抜かれるとはね。
   洞察力は大したモンだな。

ウィズ:そいつはどうも。
   (しかし、能力が分かっても、こいつの攻略の少しの糧にしかならない・・・。)

レンジ:(恐らくこいつは物質にN、S極どちらかの粒子を付着させることができるはず・・。
     つまり、吹っ飛ばしたときには自分の手にどちらかの極粒子を付け、
     ウィズにも同じ極粒子を付着させた・・。恐らく自分の方の極粒子の威力を
     最小限に抑えたから、ルイは吹っ飛ばず、威力を高めておいたウィズの方が、
     吹っ飛んだって訳や・・・。)

ルイ:来ないならこちらから行きますよ・・・。

と、ルイが手を開くと、その手の中には石があった。

ウィズ:まずい・・・・!

とっさに避けようとしたが、避ける間もなく、石はウィズの頬の辺りを切った。

ウィズ:く・・・。

レンジ:(恐らくウィズの後ろにある木にどちらかの極粒子を付着させたんやろな。それも、強力な・・
     そして、石に反対の極粒子を・・。何ちゅぅ応用の仕方や。
     こやつ、タダモンじゃぁないで・・・。)

ウィズ:(クソ・・これじゃまるっきり八方ふさがりじゃないか・・・。
     石の攻撃をしたって、又土を集めて盾にする・・。)

正に八方ふさがりである。
しかし、このピンチを切り抜ければならないことは、
ウィズも覚悟の上であった。
どうしてもこの戦闘狂いに負けてはならない・・。
そう考えていた。

ウィズ:(そう言えば、何でコイツは同じ方向ばかり向いて攻撃しているんだ・・?
     ここに何かあるハズ・・・。)

ルイ:今度はもっと沢山・・・。

ウィズ:!

そして、先ほどと同じように手が開かれ、中から大量の石が飛び出してきた。

ウィズ:二度も同じ攻撃は喰らわない!

そう言うと飛んでくる石に向かって手をかざす・・・と思いきや、
後ろにある木に向かって手をかざした。

すると、木が勢いよく根っこからすっぽ抜け、石もそれにつられて、上の方へ飛んでいった。

ルイ:ほう・・・これも見破られたか・・。

ウィズ:ゼェッ、ゼェッ・・お前が最初からずっとこっちを向いて攻撃してくる理由はそれだろ・・・。
    ゴホッ・・・まだ他にもありそうだけどな・・。

ルイ:確かにそれだけではない。まぁ磁力の性質で仕方なくこっちを向いてるんだけどね・・。

ウィズ:フン。・・わざわざ理由を言ってくれるとは思わなかった。
    この道は北に向かっている。そっちを向いて攻撃してくる、
    ということは、能力を使用する際、
    放出する極粒子が強力なN極だから北を向いていなければ攻撃できないんだろう・・。

ここまで言われているにも関わらず、ルイは不適な笑みを浮かべていた。

ルイ:なら回り込んで攻撃してみてはどうだ?

ウィズ:お望み通り・・・。

ウィズはスピードを上げて回り込み、
枝を拾ってルイの頭上に投げつけた。
さっきと同じように、枝の重力を重くして攻撃しようという考えである。

ルイ:・・・方位磁石を知らないのですか?貴方は・・・。

ウィズ:・・・!(もしや・・・)



ルイ:そう。つまり・・・

ルイの肩の辺りから一瞬にして、土が生える様な感じで
頭をガードした。

ルイ:つまり・・・背中はS極。そして土にN極粒子を付着させ、
   肩から下にN極粒子を付着させることによって、
   自動的に背中から頭をガードすることができる。

ウィズ:(くそっ・・・他に手はないのか!?)

レンジ:(まだ応用がたらなすぎる・・・。
     あいつに勝つのは簡単なことやない・・・。)

ルイ:ここで・・・僕がアフィニティーを使ったらどうなりますかねぇ・・・?

ウィズ:!!

そう、ルイは要となるアフィニティーを全く使っていない。
これはアフィニティーを持った人間の本気の10%にも満たない・・・。

レンジ:ここは一旦逃げな・・・ウィズ!逃げるぞ!

二人は一斉に走り出した。

ルイ:おっと・・・もうすこし楽しませてくださいよ・・・。

すると、見る間に木の隙間を土が埋めていった。
そして新たなる壁としてウィズ達の前に立ちはだかったのである。

ウィズ:何て奴だ・・・。・・それがアフィニティーか・・?

ルイ:そう・・私が造った空間遮断機。この空間も今は遮断されている・・。

要はその空間を遮る壁を造る、と考えて良い。

レンジ:だから木と木の間を土で埋めることが可能に・・・。
    こりゃマズイな。

ウィズ:こんなものが何故アフィニティーに・・・?

ルイ:つまり、こういうことですよ・・・。

いつの間にかルイの手には何か握られているような仕草があった。

ウィズ:これは・・・?

ルイ:磁力のボールですよ。つまり、磁力の極粒子は付着させることはできても
   留めることはできなかった・・。
   それを可能にするのがこの遮断機。

ウィズ:・・・!(もしや・・・)

ルイ:そう。この中に同じ極粒子を沢山入れておけば壁のスイッチを切ったときに
   ものすごい勢いで爆発する・・・。小規模ですが、
   その爆風は肌を切るとも言われてます・・・。

ウィズ:よもや自分自身でアフィニティーを造る奴がいるとは思わなかったな・・。
    というと錬成系統か?

ルイ:正しくは自然系統より錬成系統寄り・・・と言った方がいいですね。
   ・・・さぁ、グズグズしてる暇はありませんよ!

ウィズ:ぐ・・・!

と、正にルイが攻撃を仕掛ける直前であった。

カラ・・・・

ルイ:・・・!?

そこにはあの土の壁を割り、入ったらしき人影が有った。



?:この壁弱っちいな〜。

ルイ:・・・バカな!土の壁を割ることはできても
   空間を遮る壁をどうやって・・・!?

?:ま、結局は能力なんだけどね〜。
  壁と言ったってアレは空気で出来てるんでしょ。
  僕の能力なら壊すことは可能なんだ。

ルイ:ぐ・・・。・・・なら、今やりましょうか・・?

?:お前弱そうだからいいや〜。

ルイ:何を・・・。磁力弾!

?:メンドくさいなぁ〜・・・

すると、少年の手から水らしきものが出てゼリー状になったかと思うと、
袋のようになり、何かを捕らえたような手つきになった。

ルイ:バ・・カな・・。見ることのできない磁力弾を捕らえるなど不可能なハズ・・・。

?:何言ってんの?磁力のせいでほんの少し景色が歪んでるよ?

ウィズ:・・・!(俺は少しも分からなかった・・。手に持って止まっているときでさえ・・。)



?:じゃ・・・返すね、コレ。

と、少年はニヤリと笑い、腕を振り回しだした。

ルイ:まずい・・逃げ・・・・何!?

?:おっと・・・もうすこし楽しませてくださいよ・・・。何てね♪

ルイの足はまるで重りが乗っているかの様に、
ピクリとも動かなかった。

ルイ:く・・・、貴方の能力ですか・・・。

ウィズ:(悔しいけど俺にはこれぐらいのことしか・・)

その時、水の袋が破れ、中から飛び出した磁力の弾が
まっすぐにルイを狙った。

ルイ:う・・土の盾を・・・・。・・何!?手が動か・・・
   うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

勢いよく爆発したのち煙の中から気絶したルイの顔が覗いた。

ウィズ:(俺がやったのは足だけ・・・何故手が動かなくなったんだ?)

?:歯ごたえないな〜。もうちょっと楽しませて欲しかった・・・。

レンジ:(何や、あいつ・・・。なかなかやりよる。)ウィズ、大丈夫か!?

ウィズ:くぅ〜、あまり喰らわなかったけど磁力弾の衝撃で足が・・・。

?:何とか助かったね〜。

ウィズ:サンキュー助かったよ。君の名前は?

?:僕はユン。ユン=ライゲンてんだ。宜しく。

ウィズ:ホント助かったよ〜。強いな〜。
    でもお前も俺と年おんなしくらいでしょ?
    何でこんな試験に・・。

ユン:う〜ん・・・。今は言いにくいから、このこの二次審査をクリアした時にでも
   話すよ。ここじゃぁ誰に聞かれてるかも分からないからね〜・・・(;´Д)

ウィズ:そう・・・分かった。良かったら俺達と一緒に行かない?
    ユンが居たら強いから安心だよ。

ユン:うん、今日はまた野宿だし、お言葉に甘えさせてもらうよ〜。

レンジ:オ〜イ!ウィズ、今日はさっさと行って早めに休むぞ!

ウィズ:分かってるよ〜!いつも勝手に行くな〜!

ウィズの走っていく姿を見てこう呟いた。





ユン:アイツに聞かれたら・・・僕が僕でなくなるんだ・・。

日が暮れかけはじめていた。

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第六章 完