MR第五章
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レンジ:リブロ=ウェルダング。こいつは筆を使って能力の効果を
    増幅させとる。そしてこいつの能力、それが・・・

ウィズ:異なる次元を結びつける能力・・・ってこと?

レンジ:あぁ。ある意味全く使えなさそうな能力を、筆を使うことによって、
    あいつは強くなったんや。

ウィズ:(この・・知ったかぶりしやがって)
     俺もこの世界で何か見つけなきゃヤバイかな・・・。
     重力のコントロールって能力を引き立てるモノ。

レンジ:簡単には見つからないやろうが、自然系統なら、
    引き立てるのも勿論自然・・。そこらにある石っころでも可能性はあるっちゅーことや。
    まぁ最大限に引き立てるモノは、「アフィニティー」って呼ばれてて、
    術者が探そうとしなければ永遠に見つからない・・・とか書いてあったぞ。

ウィズ:じゃぁリブロってヤツのアフィニティーってのは絵筆・・・?

レンジ:間違いやないがアイツは只の字も凶器にする。
    ・・・まぁ詳しく話すのは大変やし、
    まだ会ってもないんやから関係ないやろ。

空はすっかり暗くなっており、
この日はここらで野宿することになった。

ウィズ:(後4日もこの森ん中か・・いつ襲われるか分からないなんて・・・。
     勝負はポイントじゃないとか言ってたのにさぁ・・・。)





リブロ:やっと食い尽くしたか・・・。

リブロはそう言うと手のひらを猛獣の方に向けた。
すると、猛獣は跡形もなく消えてしまった。
つまり、三次元から四次元に送り込んだのである。

リブロ:俺の邪魔をするヤツはこうなる・・。

そう言い残し立ち去った場には人間の骨らしき物が転がっていた・・・。





そして、夜は明けた。

ウィズ:やべ〜、緊張して殆ど眠れなかった・・・。

レンジ:まぁ、相手の邪魔をしない限り、普通のヤツは攻撃してこんやろ。
    闘ってる時間だけゴールも遅くなるしな・・。

ウィズ:でもやっぱ怖いモンは怖いし。(´Д`;)

レンジ:さっ!グズグズ言うてる暇は無い!行くぞ。

ウィズは渋々レンジに付いていった。
勿論アフィニティーを探しながら。

レンジ:(二次、三次審査を通る奴は殆どがアフィニティー持っとるしな・・。
     こいつのも早う見つけてやらんと。)

ウィズ:(やっぱ簡単には見つからないよな・・。)
     こうなったらもう飛んでいこうよ〜。

レンジ:駄目や!このフィールドじゃぁいつ敵さんを邪魔するかも分からん!
    もし、アフィニティーを持っとる奴に出会ったら確実に失格やぞ!
    

ウィズ:そこまで・・・どうやってフィガロに聞いたの?

レンジ:・・・!



ウィズ:お前は────本当に何も知らない奴だったのか?

木のトンネルの中を歩いたまま、しばらく言葉は出てこなかった。

レンジ:しょうがあらへんのォ。・・実を言うとワイも受験者じゃ。

ウィズ:やっぱり・・・。いくら何でも事情に通じすぎだし。
    相当の情報持ってるってことは、今まで受けたこともあるのか?

レンジ:ま、一回だけな・・・。二次審査で棄権したんやが。

だが、彼の言っていることに一つの疑問が浮上した。

ウィズ:前は三百年以上前・・・じゃないのか?
    だとするとタイムスリップでもしたのか?

レンジ:簡単に言えば"単位の違い"や。これでお前も命拾いしたようなモンやで・・。

ウィズ:え・・・?

その時、一瞬非常に小さな音がした。

レンジ:・・・どうやらのんびりしてる余裕はないみたいやで。

?:今の音で気づくなんて・・たいした人だ。

ウィズ:(・・・いつの間に!?)

横に生えていた草むらの中から、白髪の少年が現れた。

?:自己紹介でもしておきますか・・。
  私の名前はルイ=フィンダム。宜しくお願いしますね♪

レンジ:(自分からバトルを仕掛けてくるとは、こいつ戦闘狂いか・・・?)
     自分から闘いに来たっちゅーんに、ヤケに明るいのォ。

ルイ:もうバレてましたか。お話が早い。

そう言うとルイはボールを取りだした。

ウィズ:(! もしやこいつ・・・アフィニティーを!)

ルイ:まぁまだこれは僕のアフィニティーじゃないから安心してください・・・!

すると、いきなりウィズ達に向かってボールを投げた。

ウィズ:(!!)

ウィズは横に少し避けるつもりだったが、並木道を反れるくらい横に避けなければならなくなった。
何故なら・・・

ウィズ:ボ、ボールがでかく・・・!

ボールがアッという間に巨大化し、一瞬にして弾けた。
ウィズは間一髪で頬をかするだけで済んだ。

レンジ:・・・ボールを大きくするだけじゃよう分からんが、
    お前の能力、ズバリ空気圧をコントロールする能力やろ?
    通常地球では、物体は何tかの力で縮められるように押されとる。これが空気圧や。
    それでも潰れないんは、物体の中からも同じ力で押し返しとるからや。つまり、
    それを物体の周りだけ無くすことによって、ボールを一瞬にして破裂させた・・そうやろ。

ルイ:さあ、どうかな・・・。

ウィズ:(俺と結構似たようなもんじゃねぇか・・・)
     んじゃぁそろそろ行くぞぉッ!

レンジの話に、ルイは先ほどから左手を右手で覆って生命力を溜めているウィズに気が付かなかった。
ウィズは自分の下にあった石を掴み、ルイの真上に投げ、手をかざした。

ウィズ:重くなれェェェェェッ!

ルイ:(!!)

すると、ルイの真上に茶色の盾のようなものが瞬時にして現れ、
石を全て受け止めた。石の方も重力が重くなっているため、
弾かれずにピッタリと盾のようなものにくっついている。

ルイ:まぁ、貴方のパートナーが仰ったこと・・最初は誰でも思うでしょうが、
   この土の盾は空気圧のコントロールでは作れませんよね・・・?

レンジ:(何!?・・・確かに、空気圧であんなモノを作り出すのは不可能だ・・。
     じゃぁ一体・・・?)

ウィズ:チッ・・。
   (あの盾・・やけに堅いみたいだな。ただ土を合わせ固めただけでは不可能・・。
    すると、よほど高密度に土を固めなければ、100Kg以上になった
    あの石を受けることは不可能なはず。)
    ・・・紛らわしい能力だな。

ルイ:考えているだけではこのまま負けますよ!?

ルイは一瞬にしてウィズの目の前に姿を現した。

ウィズ:(ぐ・・・早・・)

そしてルイがウィズに手をかざした瞬間ウィズは勢いよく
後方に吹き飛ばされた。

ウィズ:うわっ!? ・・・痛ってェ〜。

レンジ:(ク・・・この現象が起こりうるとすれば、
     空気関係の能力としか・・・)

ルイ:ではヒントをあげましょう。私の能力は空気関係ではない。

レンジ:(何!?)

ルイはレンジの方を見てニヤリと笑った。
してやったり、というような表情であった。

レンジ:(チクショウ・・・こういう時にもパートナーは何もできないのか・・・・。)

ウィズ:く・・・そ・・・ぉぉ。(やられてばっかり・・ヤバイ!)
    ここで・・・負ける訳には・・。




サバイバル一日目の夜。

レンジ:じゃぁ今日は最後に重力のコントロールを練習するぞ〜。

ウィズ:コントロール・・・?

レンジ:つまり、「重くする」とか、「軽くする」とかのイメージの練習や。
    これが出来んと軽くしたいのに重くなったり、
    重くしたいのに軽くなったりして、バトルでは不利な状況を作りかねん。
    ・・・と、本に書いてあった。

ウィズ:えぇ〜もう眠いし・・・。
    第一今までちゃんと意識してやってたよ・・・?

レンジ:お前の場合声に出しとるから、何とかイメージはできとるが、
    バトルの時は決定的に不利や。

ウィズ:むぐ・・・。

レンジ:まぁ、無茶苦茶簡単なんやが・・・。
    重くするときは赤色、軽くするときは青色をイメージしながら
    生命力を出すだけや。

ウィズ:マジ・・・?それだけかよ〜。まぁそんなことしなくても二次審査ではバトらないって♪





ウィズ:・・・お前の能力、見破れたぜ・・・。

ルイ:フン、何を・・。これだけで分かる人など今まで居なかった。

ウィズ:能力の基本イメージは赤と青・・・。
    つまり対象的なイメージになる・・。
    対象的なイメージで、且つ物質を反発・引き合う現象を起こせるもの・・・。

レンジ:(! そうか・・・!これならウィズを吹っ飛ばしたことにも説明が付く。)

ルイ:・・・ふむ。どうやら見切られた様だ。

ウィズ:レンジ・・・。どうやらお前との特訓でこいつの能力が見破れたよ・・・。
    サンキューな。
    ・・・お前の能力は・・・磁力錬成!



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第五章 完