MR第四章
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二人は急いで会場に向かった。
・・・と言っても自転車などの乗り物ではなく、自分の足で。

ウィズ:ゼェゼェ・・・何で起こさなかったのさ?

レンジ:俺も寝とった!

ウィズ:(こ、こいつは本物のアホでは・・・)

レンジ:ってかお前のペースに合わせてたら間に合わん!

ウィズ:じゃぁどうしろって・・・!

レンジ:能力、忘れとらんか?

ウィズ:・・・!




一方会場の方では、フィガロがウィズの到着を待っていた。

フィガロ:(もう2分前だというのに二人は何を・・)

と、その時雲一つない空に人影が現れた。

ウィズ:到着ぅぅぅぅ!!

叫びながら自身に手を当てたかと思いきや、ふわりと着地した。

ウィズ:(レンジに能力を使えって言われなかったらヤバかったな・・・。)

フィガロ:(重力を軽くし速度をつけてから跳び、下降後に重くして更に加速したか・・
      距離は伸び、速度も伸びる。これを考えたのは・・)

レンジ:ゼィッゼィッ・・何とか間に合ったみたいやな。

フィガロ:(やはり・・・素質が凄い。)

      では、これより二次審査を始める!
      今ここに居る781名に条件を与える。
      その条件とは・・・今持っている武器を使ってはいけない、というものだ。

会場がざわめいている。
武器を使わない、ということは能力だけの勝負になる。

ウィズ:くっは〜・・また無理難題押しつけてくれたよ・・・。

フィガロ:今回は勝負がメインではなく、俊敏さを競ってもらう。
     つまり、早くゴール地点に着いた者が三次審査に進める。

参加者:ゴール地点とは?

フィガロ:私が今から電脳世界に陸を作成する。
     そのデジタルフィールドの中に答えは存在する。

ウィズ:おいおい、それってまさか・・・

フィガロ:そう!二次予選では各々にゴールを探してもらう。
     ゴールの位置を知ってから口外したものは、その時点で二次審査失格とする!
     フィールド内には所々にヒントが隠されているので、探索もポイントになる。

ウィズ:(も、もう理解できん・・・・。)

フィガロ:尚、各自パートナーと動向しても良いが、パートナーは能力を使わないこと。

レンジ:よーし、ウィズ、行くで〜

ウィズ:(頼んでねぇよ・・(´Д`;))

フィガロ:以上で説明は終わりだ。では、デジタルフィールドに・・!

ウィズ:(また強引な〜)

目の前の風景が一瞬にして広大な草原に変わった。
だが、781名の参加者の一人さえ見あたらない。

ウィズ:相当広いんだな・・・。

レンジ:そうや。781名が放たれるとするとオーストラリアの十分の一ほどの大きさ。
    ・・・ここからゴールを見つけだすんは困難なこっちゃ。(前より充分難しくなっとるやないけ・・)

草が高く、このままではいつ襲われるか分からないような場所だったので、
とりあえず島全体を見渡せる高い場所に行こう、という結論に達した。

ウィズ:でもそんな高いとこってあるのか?

レンジ:お前の能力でも充分やろ。

ウィズ:あ・・・。

レンジ:お前、早う能力を使うことに慣れんと・・・。真っ先に狙われんぞ。

ウィズ:(こ、こいつ能力者でも無い癖に・・・)

レンジ:・・・おぉ!この木の上から重力を低くして飛べば見渡せそうだぞ。

ウィズ:うわ〜只でさえデカッ・・・。

彼らの目の前には台の大人十人いても周りを囲めなさそうな太い幹と、
まるで、この世に存在するのかどうかも分からない、という程の
高い木が立っていた。

ウィズ:こっから見ても頂上が見えないぜ〜・・。

レンジ:まぁ、まずは体重軽くしてみろ。

ウィズ:?・・・軽くなれぇ!っと。・・・した
    よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ....・・・

レンジは軽くなった途端とっさにウィズを上に向かって放り投げた。

レンジ:はよ帰って来いよ〜!

ウィズは、一瞬にして黒い豆粒ほどまでに
見えるくらい小さくなっていた。
それほど、この木も大きいのである。





ウィズ:.....ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!ってアレ?
    いつの間にか木の一番上に・・。こんなに高く上がったら雲があるはずなんだけどな・・。

ウィズは忘れているが、ここはデジタルフィールドである。

ウィズ:うわ〜島全体が見える〜。
    草原だけじゃなくて街もあるな〜。
    ・・・ん?やけに大きく数字が書いてあるな・・。

ウィズは目を細くして見ようと頑張ったが何kmも下にある
数字を読みとることは、いかに大きかろうが身体の限界を超えている。

ウィズ:こんぐらいで降りるか・・。怖・・・( ̄д ̄;)
    重くなれ!

そして、躊躇なく木の天辺から飛び降りた。
何と10秒ほどで地表近くに達したので、ウィズは即座に体を軽くし、柔らかく着地した。

レンジ:結構早かったな〜。何が見えた?

ウィズ:こっから北の方に街があって、そこに何かでっけぇ数字が書いてあった。

レンジ:(残り人数のことか・・・。)おーし。街の方に行くでぇ!
     多分お前が見た距離からだと5日くらいかかるな・・。
     それまでサバイバル生活や・・。

ウィズ:ゆっくりはしてらんないな・・・。急ごう!





参加者:グ・・くそぉ・・

?:まだ俺の邪魔をするのか・・?

参加者:こ・・こうなったら試験管が気づく前にこの武器でお前を倒してやる!
    ウォォォォォォォォ!!

?:・・・能力さえも使えないとは、よくここまで来れたものだな。

そう言うと謎の男は背丈ほどもある、肩幅くらいの太さの大きな筆を取りだした。

?:物自体で人を傷つけなければそれは・・・





レンジ:武器じゃない。って、本に書いてあったで。

ウィズ:マジ!?閃光剣持ってくりゃ良かった〜!
    あれなら気絶させるだけなのに・・。

レンジ:まぁ、あるにせよないにせよ・・・





?:要は能力の応用のうまさが勝敗を決める!

すると、謎の男は筆で地面に、猛獣の絵をサッと描いた。

参加者:・・!?

何と、猛獣の輪郭が少しずつ浮かびあがってきていた。
そして、あっという間に猛獣は現れた。

参加者:う・・うわ・・。

?:特技と能力を組み合わせることによって可能性は増加する!

と、男が指を鳴らした瞬間、猛獣が参加者に襲いかかった。





レンジ:う〜ん、一番厄介なのは特技と能力をうまく組み合わせて使ってるヤツだな。
    能力応用の方法が無限大に増える。

ウィズ:なるほどな〜確かに厄介そうだ・・。

レンジ:自分の得意なことに、
    能力を掛け合わすのはやはり結構難しいそうやがな・・。
    要は発想の転換、ちゅうこっちゃ。

ウィズ:そうか・・・。
    俺も何か考えてみるかな。

レンジ:今回一番マークしなきゃなんない相手は・・





参加者:お、お前は一体・・・・。グワッ!

?:冥土の土産に覚えておけ。私の名は・・・





レンジ&?:リブロ=ウェルダング!

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第四章 完