MR第三章
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レンジ:いつの間にか賞金首になっちまったか・・・。
    1年開けただけなんになぁ。

そう言うと、レンジは何かを目に付けたような仕草をした。
俗に言うカラーコンタクトの様な物である。
では何故それを付けるか、答えは明確である。

レンジ:三次審査に入ったらこれも外すことになるが・・・。
    まぁ、力はセーブすりゃ何とかなるやろ。





ウィズ:う゛〜ん。

時、午前2時にして、未だ眠れない者が居た。

ウィズ:ベッドに入るまではあんなに眠かったのになぁ〜。
    どうしても三日後が心配になっちまう・・。あ、もう二日後だし(-д-;)
    結局孔の場所とか全然分かんねぇし・・・。
    ・・・・。

    俺・・何必死に参加しようとしてんだろ・・。


今更ながらも、ウィズはこの世界に来たことに
戸惑っていた。何が為に闘うのか。

ウィズ:(魔力なんて無くてもいいじゃんか・・)

幼い子供は皆夢見ているであろう、「魔法」というものが
目と鼻の先にあるようなモノになってしまった今、
考えはすっかり変わってしまっていた。
元より欲しいとは思っていたものの、
こんな状況では何とも感じることが出来なかった。

何より、複雑な物事が彼の思考回路をパンクさせていた。
現実世界のこと、電脳世界のこと、・・・

そうこう考えている内に、瞼が重くなった。

ウィズ:今日はもう寝よ・・・。




レンジ:! ボーッとしてたらいつの間にか朝になっとる!(゚Д゚)
    ・・・ウィズの奴、二次審査のことちゃんと考えとるかな?



ウィズ:俺、帰りたいんだけど・・。

フィガロ:何?

ウィズ:そりゃ、魔力だって多少欲しいとは思うけどさ、
    現実世界では必要とされてないし・・。
    ってかさ、俺は現実世界では、遺跡調査に行ったことになってんのよ!?
    現実世界には友達もいるし、家族だって!・・・・・会えないなんて寂しいじゃんかよォ・・・

今までの感情を全て放出するように言い放った。
フィガロの方もここまで思い詰めていたとは思っていなかったらしい、
床に敷いてあった絨毯が水玉状に濡れていた。

フィガロ:確かに親族に会えない寂しさというモノは私には想像できないものだろう。
     ・・・だが一人で背負い過ぎるな。

ウィズ:クッ・・・。

フィガロ:それに、魔力は今現実世界でも必要になりつつある。
     ・・・平和的な使い道ではないが。

ウィズ:・・・!?

フィガロ:困ったことに電脳世界から抜け出したシルファ族が居てね、
     魔力を持った人間を蘇らせ、人類への復讐を企んでる奴がね。

ウィズ:そんな・・・。

フィガロ:電脳世界とは別の時間が現実世界では流れてる。
     自由に行き来することが出来るのは、魔力を取得した人物のみ。
     つまり、お前の目指す道はまず魔力取得だ。
     そして、試練の部屋に認められここに来た・・。

ウィズ:・・・。

フィガロ:何もしなければ結果は運命の為すがままに動かされる。
     ・・・では、私は行くよ。二次審査に備えてね。

静かに宿の扉が閉まった。
そして、ウィズの考え方はこの数分間で
まるっきり変わった。

ウィズ:現実世界が危ないなら・・・・・・やってやろうじゃないの!




レンジ:ったく、昨日は変な奴のせいで殆ど眠れんかった・・。ん?

ウィズ:フーッ、フーッ・・。

そこでは木を前に能力を引き出す練習をしているウィズの姿があった。
勿論まだ一回も出来てはいない様だが・・・。

レンジ:おーっ、やっとるやっとる。

ウィズ:レンジか!?今まで何処行ってたの?

レンジ:ちょっとな・・・。それより、全然コツが掴めてな・・・あ。

ウィズ:へ?コツが掴めてないって何で分かんの?

レンジ:(こいつにはまだバレてへんかった・・)いや、
     俺でも何か力になれんか思うてフィガロに聞いてみただけや(゚∀゚;)

ウィズ:ふーん・・じゃぁどんな感じで出せる訳?

レンジ:そやな・・・孔っちゅーのが左手にあるんやろ?お前の場合。
    まずは、簡単なイメージを掴む為に左手を固定して右手を近づけて、
    手の間が暖かくなったと思ったら引っ張るように右手だけ動かし、離す!(※1)
    ・・・って言っとった。

ウィズ:(何か喋り方がぎこちな・・・(-д-))とりあえずやるだけやってみる。

そう言ってウィズは言われたとおりにやってみた。

ウィズ:・・?おお・・・。

レンジ:どうや、左手に何かジワ〜ッって来たやろ?

ウィズ:そうそう、確かあの時もこんな感じだった!

レンジ:それを二日後には左手だけで感じないとあかん。
    そのイメージで今日はずっとやっとれ。・・だそうや。
    で、ワイはこれからフィガロに頼まれたことが有るからここらへんでな。

ウィズ:OK!レンジサンクス!

その後、ウィズは幾度となく、左手だけで
能力の引き出しを試みたが、何度やっても出来なかった。

ウィズ:クソッ・・・引き出すだけで何でこんな体力が減るんだ・・・。
    源が生命力だからか・・・?

ウィズはとりあえず能力の確認が出来ない問題について
いろいろ考察していた。

ウィズ:んー・・孔は見えないって言ってたけど
    人によって細かったり太かったりすんのかな?
    俺はまだ気づいて間もないし・・細いってことにしてみるか。

ウィズの考えた通り、確かに人によって細い太いの違いはあるが、
それだけでは能力が引き出せない、という問題は解決できない。

ウィズ:グッ・・・体中が痛くなってきやがる・・・。
    引き出せないのは・・源の生命力が足りないってことか?
    だが細いにしても一次審査のときは発動できた・・。
    あのとき左手は剣を掴んで・・・・!

    そうか!
    空気中に生命力を出しても駄目だ!
    あのときは手と剣の間の空間に貯められたからなんだ!

周りはすっかり暗くなっていて、
山中なので10m先が見えるか見えないかぐらい暗くなり始めている。

ウィズ:(恐らくこれが最後だ・・・。
     これ以上は体が壊れそうな気がする・・。)

ウィズは自分の5倍はあろうか、
という木に、真っ先に手をあてがった。

ウィズ:(右手で・・引き出す感じ!)

ウィズ:ウァァァァ!!




レンジ:ふぅ。漸くフィガロに頼まれた任務が終わった・・・。ん?

レンジの視線の先には大木を抱えたウィズが立っていた。

ウィズ:へへ・・・クリアで・・きた・・

と言った途端、その場に倒れてしまった。

レンジ:あーあー・・・引き出せる生命力の限界を超えとるやん・・・(-д-)
    こんな滅茶苦茶なヤツ初めて会ったわ。




ウィズ:ココは・・・何処?真っ暗・・・。

?:・・・。

ウィズ:あっ、誰か居る。オーイ!

?:馬鹿な事はやめろよ・・・。

ウィズ:え?

?:こんなことを続けてたら・・・いつか孤独の世界を彷徨う。

ウィズ:何を言って・・・あっ、何処行くんだよ!

?:お前はまだこっちに来ちゃいけない!

ウィズ:何なんだ・・・お前、誰だよ?

?:俺は・・・




パッと目の前が明るくなったかと思うと、いつの間にか朝になっており、ベッドの中に居た。

レンジ:お前丸一日寝てたぞー!早く会場行かないと失格やぞ〜。

ウィズ:げっ!?急がなきゃ!
   (今は・・気にしないでおこう)

※1=実際にできたりします。是非やってみて下さいw
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第三章 完