「Magic revival」(マジックリバイバル)

作者:光100M


MR第一章
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魔力。
それは古代より受け継がれてきた、
『自分の道を切り開くもの』として伝えられてきた。
『永久に道を閉ざす』こともあるが・・・。

1251年 夏 ルイーブアイランド。

?:ふぃ〜、今日もぢがれだ〜。夏休みまで遺跡発掘は辛い・・・。

この少年の名はウィズ。たまたま夏休みに来たチラシを見た母親が、「遺跡発掘の旅」という
謎の企画に、かってに応募してしまったのであった。

ウィズ:そもそも遺跡なんか何処にあるんだよ〜・・。

?:まあそう言わんで・・・。この山を越えた所にあるはずやから。

案内役の男はレンジ。今まで何度も遺跡調査で事故を起こしているある意味ベテランである。
ウィズは中学一年生、レンジは何と高校一年生という若さであった。
・・・結局は企画者の名を聞いてキャンセルした者が多く二人だけな訳だが・・。

ウィズ:(こ・・こいつはやはり何処か怪しい感じがする(汗)

レンジ:おっ。見えてきたど〜。

二人の前には壮大な景色が広がっていた。
アフリカの草原よりも広い感じを漂わせるその遺跡の奥行き。その迫力。
遺跡など実際に見るのが初めてのウィズには今まで感じたことのない迫力が、ウィズの心を襲うのであった。

ウィズ:(何か入っていいのか・・・誰も居ないはずなのに入っちゃいけない様な気がする。)

レンジ:どうしたー?ビビったんか?

ウィズ:(ひぃ〜何かズカズカ入ってる人が居るよ〜。)「ま・・待てよ〜!」

遺跡は古代都市だが、およそ1000年前の技術とは思えない程文化が進んでいた。
その中でふとウィズが目に付いたビジョン(映像)があった。

ウィズ:1000年間ずっと稼働しっぱなしだったんだ〜。って、・・・これは何語?

レンジ:ちょっと貸してみぃ。1000年前の言語とは言っても
    今の言葉に多少似た部分があるはず・・・。

ウィズ:(オタクは違うねぇ。)

レンジ:ぇ〜っと、魔・力・蘇・生・・・?何のこった。

ウィズ:へぇ〜、こんな機械仕掛けの街でも魔力に関心があったんだな。

レンジ:今は目も向けられてないがな・・。昔は沢山いたシルファ族も今では極少数だし・・。

ウィズ:シルファ族・・・って何だっけ。化学で聞いたことがあるけど忘れた〜。

レンジ:確か、およそ1000年前に発見されて、その時から魔力が広まって、
    戦争にかり出されて激減し、人間との交流を絶ったとか・・。

ウィズ:そうそう、貴族とかに魔力を与えてたんだっけ。魔力の量は圧倒的に違ったらしいけど。
    ・・・ということはその貴族達が失った魔力を再生しようとした・・ってこと?

レンジ:あ"〜〜〜っもう知るか〜!難しい話なんて嫌いだ〜!

ウィズ:(本性を現したな遺跡オタク)

二人はとりあえず建物に入って調査することにした。

レンジ:機械仕掛けと言ったってやっぱ本は沢山あるもんだね〜♪

ウィズ:(オタクの本は読めんよ・・・)

レンジ:おっ、「シルファ族消滅の理由」だって。これ読んでみよ〜♪

ウィズ:(こういう時はガキに変身すんのな・・・こいつに付いてきて大丈夫だったんろうか(汗)

その本によると、
『シルファ族消滅の謎は未だ解かれていないが、
可能性としては次の説が一番有力である。
247年に起こったシルファ族と人間との衝突、
つまり魔大戦である。
この戦争がシルファ族に人間の印象を変えさせたのである。
(中略)
以上の理由により、
人間の存在する現実世界では住むことはできないと判断し、
電脳世界に身を潜めたのだと考えられる。』

レンジ:なる〜。それにしても電脳世界なんて・・どうやって行ったんやろなー。

ウィズ:(行きたい!?行きたいんですかアンタ!?)


そんなこんなで、夜。


ウィズ:こういう街は排気とかで星が見えないだろうと思ってたけど意外と見えるモンだな〜。

レンジ:Zz.・・・

ウィズ:(寝袋に入って3秒・・のび太の記録に一歩近づいたなレンジ!(゚Д゚;))

朝は雀の鳴き声に起こされた。

ウィズ:まだねみ〜・・

レンジ:Zz.・・・

ウィズ:・・・。( ̄д ̄)

ウィズ:起きろォォォォォォォーーーーー!!

レンジ:ハッ・・・何だウィズかぁ・・もちっと寝かせてくれぃ・・。

ウィズ:(付いてきたのは間違いだったな・・。)

レンジの睡眠も一段落し、再び調査に入った。
勿論遺跡と行っても広大であるため、一週間ほど滞在する予定である。
そして二人はある部屋に入った・・・。

ウィズ:それにしても1000年前のビジョンが動いてるってことは街自体もまだ
    動く可能性もあるんだよな〜。動いているのかもしんないけど。

レンジ:さすがに街は動かんだろー。俺が調べた本によると
    動いているのは『試練の部屋』ってとこだけらしい。
    永久稼働システムになってるらしく、過度のショックを与えなければ止まらないんだとさ。

ウィズ:(何か嫌な予感・・・やけに詳しく説明されてるってトコが・・)

ウィズの予感は当たっていた。
電子掲示板で表示されていた「試練の部屋」という看板を見落としていたのである。
形が歪んで読めなかったのかも知れないが。
どちらにせよ何か危険な状況であることを悟ったウィズ達は急に目の前が暗くなった。

ウィズ:・・・!?ウッ・・・。

レンジ:ウィズ!クソッ限界だ・・。

・・・。
・・・。
・・・。

ウィズ:・・・!

周りを見渡すといつの間にか風景が一変していた。

ウィズ:・・・? 何だここ。

レンジ:どうにもヤバイな・・・まさかあの部屋が『試練の部屋』だとは思わんかった。

ウィズ:あそこに人がいる・・・行ってみようぜ!

ウィズ:あのー、すいませ・・・。

?:329年43日13時間22分40秒振りのお客様だよ、フィガロ。

フィガロ:人間に会うのはどうも気が引けるね・・。そうだろうジュローム。

ジュローム:何も知らないで来ました、って顔してるんだけど・・どうする?

ウィズ:え・・・?

そこには、瞳が白く、藍色の髪を持ったフィガロらしき男と、同様に瞳が白く髪が緑色のジュロームらしき女がいた。
二人は自分の心情をあまりにもピッタリ当てられたので少々驚いた表情をしていた。

ウィズ:(何かメンドいことになりそうだな・・・。)

フィガロ:ここが何処か分かってるのかお前達は。

ウィズ:試練の部屋とか言ってたっけね〜。

ジュローム:その通り、ここは人間が魔力を取得するハズだったんだけどね・・。

ウィズ:ま、魔力を取得するだって!?

現実ではあり得ないことをさも当然のように言っているフィガロに驚きを隠せなかった。
何故なら、本来魔力とはシルファ族のみが導き出すことができるのであって、
現代に生きている人間には到底取得しようもないからである。
ウィズは直感した・・・。白い瞳・・・そうか、こいつらは・・

フィガロ:そう、我々はシルファ族だ。

ウィズ&レンジ:!!

レンジ:今は極少数と聞いてたんだがな。

フィガロ:現実世界ではどうも住みづらい様だから、電脳世界に住んでる訳だ。

ウィズ:そうか・・・話は最初に戻るけど「ハズだった」ってどういうこと?

ウィズは環境の変化に自分があまりにも早く対応していることに、
不思議な感情を持ちながらも平常心を保ち続けていた。

ジュローム:本当なら、人間が来た時点で希望したシルファ族と一緒に試練を受けるんだけどね・・。
      329年も人間が来なかったものだから希望者がすごい数になっちゃってねぇ・・。
      早く始めないと暴動が起きそうなくらいなのよ。

フィガロ:と、言うわけで今出場資格があるかどうか確認してさっさとやってもらうから宜しくー。

レンジ:資格?

フィガロ:俺が能力の有無を調べるだけだ。その能力が何なのかまでは時間がないから却下ね♪

ウィズ:いっーーー!?ってことは有った場合は分からないまま出るの!?

フィガロ:ふむ・・・。

ウィズ:(って何かもう始めてるし!神よ・・・。)

フィガロ:ウィズ君にはあるようだけど、レンジ君には見あたらないなぁ・・。残念だったね〜レンジ君。

レンジ:(ほわわわわぁ〜ん、てこういう時の効果音なんかな〜安らぐ〜。なんて言うか一生涯保険に入った感じ〜)

ウィズ:(ギャ〜、俺はまだ死にたくないのに〜、この漫画にありがちな展開は何だ〜!?死ぬ〜!)

将来への不安と、成り行きに不満を感じつつも、ウィズは会場へ引っ張られていった。

フィガロ:さぁ、ここで待ってろ。すぐに始まる。
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第一章 完