第1章 嵐ガフク秋 その1

 10月28日

木枯らしが吹き、これからドンドン寒くなる時期、

この宿舎はボロイから寒い。

外とあまり変わらないよと毎年ツッコミをいれてしまう。

寒いのを我慢しながら『実況パワプロプロ野球10』をしていると、

突然、ドアが開いた。

篭尻「岩橋!緊急で球場へ集合だ!」

こいつは篭尻 唐吉(こもじり とうきち)、同期のピッチャーで未だに二軍のまま。

そんでもって俺は岩橋 時雄(いわはし ときお)ショートを守っているがやはりずっと二軍だ・・・

岩橋「今から浜崎球場に行くのか?」

篭尻「ちゃう!奥山ウェイスタジアムや!」

岩橋「エッ!一軍のグランドに二軍の俺たちが!?」

篭尻「せや!はよ準備せぇ!」

岩橋「おう!ちょっとだけ待っといて!」

あわてて準備をし、お気に入りのキーホルダー付きの携帯を持って玄関を飛び出た。

岩橋「しかしよう、何があったんかな?」

篭尻「もしかしたら監督が急死したんとちゃうか(笑)」

ドスッ!

篭尻が俺の右横にいた小柄の男に蹴られた。しかもかなりきつく蹴られた。

篭尻「いててててて、冗談ですがなチクリンさん・・・」

竹林「じゃー失礼な事は止めぃ!」

この人は竹林 彰貴(たけばやし しょうき)、サードでレギュラーなのだが、

怪我で今シーズンは二軍生活を送った。

竹林「だけど非常事態には変わりないな。」

篭尻「そうでんな〜そんじゃー早く行きまひょーか〜。」

そう言って俺たちは奥山ウェイスタジアムを目指した。

 

第1章 嵐ガフク秋 その2につづく。