ウルトラマンカオス

第1話「やってきた光」 大悪党怪獣 バラガス登場

朝の公園で犬の散歩をするおじさん。仲良く登校する小学生。家族をおいてゴルフに出かけるお父さん。
地球では、人々が平和に暮らしていた。
地球の平和を守る組織、科学特別捜査隊(略して科学特捜隊。さらに略すと科特隊)も大きな事件がないので、暇をもてあましていた。
仕事がないのでババヌキをしているのは、ヤマト隊員とイケハタ隊員だ。
イケハタ「よっしゃ〜。ペアできた〜。」
ヤマト「(2人でやれば必ず出来んだよ。)」
そんな2人を見て笑っているのはシンドウ隊長。他の隊員からは、「キャップ」と呼ばれている。
女隊員「キャップ。自衛隊から連絡が入りました。」
今自衛隊からの連絡を受けたのは、ホシ隊員だ。暇そうな隊員たちの中で、彼女だけはいつも忙しそうにしている。
シンドウ「何だって?」
ホシ「宇宙から謎の発光体が地球に迫ってきているそうです。それで、我々にそれを調査してほしいそうです。」
イケハタ「ん!?仕事ですか〜?」
イケハタが嬉しそうな顔をして立ち上がる。
シンドウ「そうだ。イケハタ、ヤマト、イガラシ、行くぞ」
最後に呼ばれたのはイガラシ隊員。とても眠たそうだが、久々の仕事なので、しぶしぶ3人の後についていった。4人はビートル(戦闘機)で宇宙へと飛び立った。1号機にはヤマトとイケハタが、2号機にはシンドウとイガラシが乗っている。
1号機が宇宙空間をしばらく進んでいると、遠くに光が見えた。その光はどんどん大きくなって来る。
イケハタ「おい、ヤマト。何だあれ?」
イケハタがその光を見て言う。
ヤマト「キャップ、謎の発光体を発見しました。どんどんこちらへ向かって来ています。」
シンドウ「そのまま様子を見ろ。俺も今からそっちへ向かう。」
1号機から少し離れたところにいる2号機からシンドウが言った。
発光体は白い光を放ちながら、ものすごいスピードで地球へと近づいていた。そして、1号機の目の前をものすごい速さで通り過ぎていった。
イケハタ「速っ!!!」
ヤマト「キャップ、今そちらに向かって発光体が飛んで行きました。ものすごい速さです。」
シンドウ「何!?現れたのか!」
イガラシ「キャップ。来ましたよ。」
発光体はものすごい速さで2号機の横を通り過ぎていった。
イガラシ「速っ!!!」
イガラシがイケハタと同じ事を言う。
シンドウ「よし。追うぞ。」
2号機は発光体を追って、地球へと向かっていった。
1号機も地球へと向かっていた。そんな中、ヤマトがイケハタの様子がおかしいのに気付く
ヤマト「どうしたイケハタ。」
イケハタ「何か巨大なものが近づいてきている・・・。」
イケハタがレーダーに巨大なものが映っているのを見て言った。どんどんこちらに近づいてきている。
その直後だった。ビートルの横を巨大な黒い怪獣が通り過ぎていった。
イケハタ「!!??」
怪獣は地球へ向かって飛んでいく。
ヤマト「キャップ、怪獣が出現しました。地球へと向かっています。」
シンドウ「何!?怪獣だと!?絶対に地球に近づかせるな!」
ヤマト&イケハタ「了解!」
ビートルは怪獣の横に並び、怪獣の顔面にミサイルを3発ほど撃ち込んだ。しかし、怪獣は少しひるんだだけで、かまわず地球へと飛んでいく。
ヤマト「何!?全く効かないだと!?」
その後もビートルは怪獣に攻撃を仕掛けるが、全く効かずどんどん地球へと向かっていく・・・。
2号機は発光体を追っていたが、大気圏へ突入したあたりで発光体を見失ってしまった。
シンドウ「シンドウから本部へ、シンドウから本部へ。発光体を見失った。どこへ行ったかわかるか?」
ホシ「わかりません。大気圏に突入したとたんに消えました。」
シンドウ「消えた?馬鹿な・・・」
イガラシ「キャップ、あれを見てください!」
イガラシが上を指差して言った。
シンドウが上を見ると、巨大な黒い怪獣がこちらに向かって飛んできているのが見えた。
シンドウ「何だあれは?」
イガラシ「きっとあれがヤマトの言ってた怪獣ですよ。」
飛んできた怪獣は2号機の横を通り過ぎて下にある森の中に着地した。
ヤマトの提案で科特隊は、地上と空中の2手に分かれて怪獣に攻撃することを決めた。ビートルからはヤマトとシンドウ、地上からはイケハタとイガラシが攻撃をしかける。もう辺りは夜になり真っ暗になっている。
シンドウ「いたぞ!ヤマト。俺が前から攻撃するから、お前は後ろに回れ。」
ヤマト「了解」
もうイケハタとイガラシは下から攻撃を始めている。
はさみ撃ちを決行しようとヤマトの乗った1号機が怪獣の後ろに回りこむ。しかし、後ろに回りこんだとたん、今まで見えなかった怪獣の尻尾が森の中から飛び出してきた。
ヤマト「うわっ!」
ヤマトが気付いたときにはもう遅く、尻尾の直撃を受けたビートルは火を噴きながら落ちていく。
シンドウ「ヤマト!」
その時だった。森の中からあの発光体が飛び出してきた。
突如として現れた発光体は、火を噴きながら落ちていくビートルの中へと入っていった。
気付いたらヤマトは、白い光の中にいた。回りを見渡しても永遠と白い空間が続いている。そんなヤマトの前に人の姿をした「何か」が現れた。それを見たヤマトはすぐに気がついた。
ヤマト「ウルトラマン!!!」
そこにいたのはウルトラマンだった。しかし、体の色や模様などが今までにヤマトが見てきたウルトラマンとは違っていた。
ウルトラマン「私はウルトラマンカオス。怪獣バラガスを追って地球にやってきたが、ヤマト。お前を巻き込んでしまった。」
ヤマト「別に君が悪いわけじゃない。あの怪獣が悪いんだ。しかしあの怪獣は何が目的で地球に来たんだ?」
ウルトラマン「バラガスは星々を渡り歩き、飽きるまでその星で破壊の限りを尽くす宇宙の大悪党だ。私はヤツを追ってここに来た。しかし私は地球上ではわずかな時間しか行動する事が出来ない。そこで、君の身体を貸して欲しい。決して君の生活の妨げになるような事はしない。」
ヤマト「地球を守るためなら仕方ないが、何をすればいい?」
ウルトラマン「このカプセルを使うのだ。」
そう言うと、ウルトラマンはヤマトにカプセルを差し出した。ヤマトがそのカプセルを握ると、カプセルが光を放ち、あたり一面が光に包まれた。
バラガスに撃墜されたビートルは墜落し、爆発、炎上した。
そして、その炎の中から、光が飛び出した。その光はバラガスの上を飛び越え、バラガスの目の前で止まった。そしてその光は人の形に変わり、ウルトラマンが現れた。
3隊員「ウルトラマン!?」
バラガスがウルトラマンに向かって炎を吐いた。ウルトラマンはそれをかわし、横からバラガスを突き飛ばす。バランスをくずしたバラガスは倒れるが、すぐに立ち上がりウルトラマンに向かって突進してきた。不意打ちを食らったウルトラマンは数十メートル先に突き飛ばされた。ゆっくりとバラガスがウルトラマンに近づくと、突然ウルトラマンは立ち上がり、バラガスに向かって光の球を打ち込んだ。今度はバラガスが不意打ちを食らい、吹き飛ばされた。怒ったバラガスは、ウルトラマンに向かってものすごい勢いで突進してきた。ウルトラマンがそれをよけると、バラガスは止まることが出来ずに、近くのがけにぶつかった。フラフラになりながらも体勢を立て直したバルガスは、ウルトラマンめがけて巨大な炎を吐いた。ウルトラマンは炎を手で受け止めようとするが反動で吹き飛ばされてしまう。そして再びウルトラマンに向かって突進をする。
シンドウ「今だ!!!」
シンドウのその声を合図にして、ビートルと地上の2人からバラガスに向かって集中砲火を浴びせた。
バラガスがかなりダメージを受けたのを見たウルトラマンは、手をクロスさせてバラガスに向かって光線を放った。
光線を受けたバラガスは大爆発をおこした。
それを見届けたウルトラマンは遥かなたへと飛び去っていった。
3人はビートルが墜落したあたりでヤマトを探していた。
イケハタ「ヤマト〜」
シンドウ「ビートルの中にもいなかったし、あいつどこいったんだ?」
すると、遠くのほうからヤマトの声がした。
ヤマト「お〜い」
イケハタ「どうしてたんだよ、ヤマト。」
ヤマト「ビートルが墜落してるときにウルトラマンが助けてく
れて、森の外におろしてくれたんだ。」
シンドウ「心配かけやがって、このやろう」
4人が楽しく会話をしている間に、もう朝日が昇ってきていた。
第1話終わり    第2話へ続く




科学特捜隊メンバー
シンドウキャップ 本名:進藤 拓朗 (しんどう たくろう)
ヤマト隊員  本名:大和 涼 (やまと りょう)
イケハタ隊員  本名:池畑 和彦 (いけはた かずひこ)
イガラシ隊員  本名:五十嵐 健太 (いがらし けんた)
ホシ隊員  本名:星 麗子 (ほし れいこ)

ウルトラマンカオス
身長44m  体重3万5千t
ウルトラの星から怪獣バラガスを追ってやってきた光の戦士。
バラガスに襲われたヤマトを助け、彼の身体を借りて地球で生活している。ウルトラマンに直々に教わったスペシウム光線が必殺技。

登場怪獣紹介
大悪党怪獣 バラガス
身長50m  体重4万7千t
数々の星を破壊し続けてきた大怪獣。ウルトラマンカオスに追われて地球までやってきた。